古代と現代の食の違い

今回の歯科衛生士通信は、古代と現代の食事の変化と骨格の関係についてのお話しです。

食事の内容、噛む回数に差が出ると、骨格も変化するということをご存知でしょうか?

近年、子供の歯列不正や口腔機能の発達不全、大人の口腔機能低下などの増加が問題視されています。これらは生活習慣と密接に関係していると考えられています。

そこで、今回は身近な食生活における時代の変化と骨格の関係についてみていこうと思います。

古代と現代の食の違い

古代


玄米(雑穀)、魚(干物)、木の実、野菜など噛み応えのある食事
咀嚼回数:3990回

・古代人の食事は硬いものが多く現代人の食事と比較すると一食あたりに必要な咀嚼回数(噛む回数)は、6倍も多かったと言われています。
・硬くて噛み応えのある食材が多かったため、よく噛まないと飲み込めませんでした。
・たくさん噛むので唾液もたくさん出るため、自浄性(歯垢や食べかすを洗い流す力)も高いです。

現代


小麦粉、肉、加工食品、やわらかい食事
咀嚼回数:620回

・現代では、調理法の改良が進んだことや、軟らかいものを食べる機会が増えました。
・仕事や家庭の業務に追われている方が多く、時間がなくても手軽に空腹を満たせる食事が増えています。
・「飲む〇〇」といった、咀嚼をせずに手軽に栄養を摂取できてしまう商品もあります。
・噛む回数が少ないので自浄性も低いです。(虫歯や歯周病のリスク高い)
・食の欧米化も進んでおり、脂の摂取量増加。(生活習慣病のリスク高い)

骨格の違い

・イラストのように咀嚼回数の減少により、現代人は顎や口腔の形態の衰退が進行しています。それに伴い、口腔機能も衰退していきます。
・噛むことができる人に、噛まずに飲み込む食習慣が定着すると、知らないうちに咀嚼機能は退化し自浄性も悪くなります。また、顎は十分に発達せず、生じた顎の発育不全が次の世代に継承されます。その結果、骨格は華奢で細長い顔貌となり、現代人では、虚弱化した口腔の形態や機能的異常が増えているのです。
・顎が十分に発達しないことで、歯並びにも影響します。

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いかがでしたか?

日常で食べている物、噛む回数の違いで骨格に影響を及ぼすということは、予期せぬ形で、私たちの体に悪影響を与えてしまっていると考えられます。
人生100年時代と呼ばれる現代で、より健康でより楽しく過ごすためにも毎日の食について、丁寧に向き合ってみるのはいかがでしょうか?

作成者 北村