歯周病治療がアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性も

今年も残すところあと1か月となしました。今年はコロナ・・コロナ・・の一色になってしまいましたが、ご自身の健康を見直す機会になったのでは?今月は歯周病予防とアルツハイマー型認知症との関係です★

歯周病治療がアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性も

歯周病との因果関係については、まだわかっていないものの、動物実験の結果は、歯周病がアルツハイマー病の悪化因子であることを示唆しています。

人工的にアルツハイマー病にしたマウスの半数に歯周病を発症させたところ、歯周病のないマウスよりも認知機能が悪化。実験後に、脳に沈着したアルツハイマー病の原因とされるたんぱく質を調べると、歯周病のないマウスに比べて、歯周病マウスのものは重量で約1.5倍、面積では約2.5倍にもなっていました。

研究者は、口の中の歯周病菌や炎症のもととなる物質などが、血流に乗って脳に運ばれて何らかの影響を与えているのではないかと考察しています。

歯周病で歯を失うことも、アルツハイマー病に打撃

歯周病で歯を失うことも、アルツハイマー病と無関係ではありません。アルツハイマー型認知症の発症には脳の中の神経伝達物質の減少が関わっていると考えられており、神経伝達物質は噛むことによる刺激が脳に伝わることで増えるからです。

また、噛むことが脳を活性化することもわかっています。つまり、歯周病によって歯を失うことが、アルツハイマー型認知症の引き金にもなりかねないということなのです。

アルツハイマー型認知症の人は健康な人よりも歯の本数が少なく、また、残っている歯が少ないほど脳の委縮が進んでいたということが報告されています。

先日、歯周病とアルツハイマー型認知症の因果関係について患者様よりご質問をいただきました。まだ研究段階の内容でしたが、私も改めて勉強できるいい機会になりました。

令和2年1月号でもペリオドンタルメディシンについて記載してありますので、どうぞ参照してください。

来年も、患者様の疑問や不安に寄り添えるよう衛生士一同研鑽して参ります。
皆様もよいお年をお迎えください。

作成者:佐々木