お口周辺の慢性炎症が原因で「手荒れ」が起こる?

あけましておめでとうございます。令和六年も佐藤デンタルクリニックならびに歯科衛生士通信をどうぞよろしくお願いいたします。

今月の衛生士通信は冬の大敵【手荒れ】のお話しです。

その手荒れホントにただの手荒れ!?

「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」をご存じですか?

手の平や足の裏に膿疱(内部にうみ膿がたまった水膨れ)が繰り返しできる病気のことです。

通常、“膿”は細菌感染などによって生じるものですが、この病気の膿疱は感染によって生じるものではありません。

明確な発症メカニズムは解明されていませんが、この病気は扁桃炎(へんとうえん)、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、むし歯、歯周病や金属アレルギー、喫煙などの体の一部で起こっている慢性炎症が発症と関連していると指摘されています。

すなわち、お口周辺の慢性炎症が原因で自己免疫の暴走により、【手荒れ】が起きることもあるのです。

このような状態に要注意!!

むし歯


長い間放置していたり、時間の経過した根っこの治療が原因で、根尖に病巣(慢性炎症)ができている状態。定期的なレントゲン撮影でわかります。

歯周病


言わずと知れた、歯科で代表的な慢性炎症です。

金属アレルギー


金属が水分に触れて溶け出して金属イオンとなり、体内のタンパク質と結びついてアレルゲンに変質することで生じます。お口の中の金属は、常に唾液に触れているのでイオン化しやすく、体の中に蓄積されるとアレルギーの原因になります。

金属アレルギーの原因が歯科用金属である場合、原因となる金属を取り除き、アレルギーを起こしにくい材質のものと取り替える治療を行います。

扁桃炎


歯科では口呼吸が考えられます。扁桃炎が起こるメカニズムは、細菌やウイルスが扁桃に付着し、増殖、そして炎症を起こすことによります。

口呼吸をすることで、口の中が冷え低体温にもなりますし、口腔乾燥状態は外敵の侵入を容易に許してしまう口腔粘膜をつくってしまいます。

いかがでしたか?

掌蹠膿疱症だけでなく『身体のどこかに限局した慢性炎症があり、それ自体はほとんど無症状か、わずかな症状を呈するに過ぎないが、遠隔の諸臓器に、反応性の器質的および機能的な二次疾患を起こす』ものを【病巣疾患】といいます。

一見、歯科と関係ないような症状でも実は・・なんてヒントにもなったりするので、気になる症状があれば、ぜひご相談ください。

作成者:佐々木