深い虫歯に対してMTA歯髄温存療法を行った症例

右下6番目の歯(第一大臼歯)の深い虫歯です。赤線で囲った部分に虫歯があります。口腔内ではほとんどわかりませんが、以前虫歯に対してコンポジットレジン修復を行った部分に黒い線が見えます(黄色線で囲った部分) このように一見なにもないように見えてもレントゲンでは虫歯がわかることがあります。定期的にレントゲンを撮ることをオススメするのはこのためです。

コンポジットレジンを除去したあとの写真です。まだ虫歯が残っています。

う蝕検知液という虫歯を青く染める薬品を用いて、虫歯の取り残しがないかを調べます。虫歯が深いと判断したため、ラバーダムというゴム製のシートのようなもので患歯だけを見やすく、治療しやすいようにしています。

青く染まった部分を丁寧に削っていくと、歯の神経が見えてきてしまいました。神経からの出血が止まるかどうか?神経付近に青く染まるものがないか?を判断材料とし神経を保存できるかどうかを判断します。この場合はMTAという材料を用いて神経を保存してみることとしました。超音波チップを用いて部分的断髄という手法をとっています。

白く見える部分がMTAをグラスアイオノマーセメントとコンポジットレジンで密閉した写真です。この状態で3ヶ月ほど様子を見なくてはなりません。赤線で囲った部分が神経が露出した部分にMTAセメントを入れた状態です。

3ヶ月間、問題がなかったため、セラミックインレー修復を行うことにしました。MTAセメントは種類にもよりますが、黒変するものがあります。写真で黒く見えている部分は虫歯ではありません。白い部分はコンッポジットレジンです。

セレックというCADCAMミリングマシンで制作したセラミックインレーを入れました。機械化によって安価でできるようになりましたが一つ後ろの歯のような歯の溝の着色やグラデーションを再現することはできません。審美的にできない分、リーズナブルな値段になっています。

【治療費の総額】
30,000円 外税 (MTA歯髄温存療法は別途10,000円 外税)副作用として術後の疼痛が生じることがあります。残念ながら後に神経を取ることもあります。